-
-
「2025年 京都の伝統行事・伝統芸能を次世代に継承するためのクラウドファンディング」助成結果のご報告
- 2025年7月から10月にかけて、2年目となるクラウドファンディングを行いました。その結果、多くの皆様から多くの温かいご支援を賜わりました。このご支援は20団体への活動助成として交付させていただきました。
しかし、すべての団体に支援をお届けできていません。今年も皆さまからのご支援をお願いいたします。
助成結果の報告の一例として、日野裸踊保存会、嵯峨狂言クラブの事例をお知らせします。 -
日野裸踊保存会
-
- 日野裸踊は法界寺で1月14日の夜に行われます。地元の児童と青壮年が下帯ひとつの姿となり、国宝阿弥陀堂広縁で「頂礼、頂礼」と連呼し、願いをこめて踊ります。
児童の部の参加者は近年減少し数人だけ(一昨年は4人、昨年は6人)となっていました。 そこで保存会は児童向けのわかりやすい参加者募集のチラシを作成し、地元の小学校区で配布しました。
迎えた今年の裸踊当日、参加してくれた児童は18人!彼らを見に来た親御さんや兄弟姉妹、友人たちで境内は大賑わいでした。参加の記念に子どもたちにはこの日のために作った特製の手ぬぐいが手渡されました。
今回の皆様のご寄附を基にした助成金で参加者募集のチラシを作成しました。 -
嵯峨狂言クラブ(嵯峨大念佛狂言保存会)
-
- 嵯峨狂言クラブは嵯峨大念仏狂言保存会の方々が指導されている幼稚園から小学6年生までの地元のクラブです。今年3月28日に卒業公演を兼ねた1年間の練習の成果を披露する発表会が嵯峨釈迦堂清凉寺境内にある狂言堂で行われました。
暖かな陽射しにつつまれた当日は、がんばって練習に励んできた13人の子どもたちが嵯峨大念仏狂言の演目のひとつ「船弁慶」を披露し、大勢の観客の皆さんから盛んに拍手を受けていました。
今回、皆様のご寄附を基にした助成金はこの発表会の運営のために使われました。 - このように皆様からいただいた寄附金は京都の伝統行事・芸能を継承するために頑張っている若い人々とそれを熱い思いで見守る人々のために使わせていただいています。
-
受け継がれてきた京都の伝統行事・芸能とその現状
- 長い歴史を持つ京都では、庶民や公家、武士、僧侶、神職などさまざまな人々が交わり、独特の伝統行事が育まれてきました。古くは葵祭、祇園祭、そして京都五山の送り火などがあり、明治以降では時代祭などが全国的に知られています。
加えて、京都市内各地では火の行事、馬の行事、剣鉾、高盛御供、山の神といった地域に密着した恒例行事が伝わっています。そしてこれらを担う保存団体が80以上存在し、活動しています。
伝統行事・芸能の技術の習得には時間と手間がかかります。衣装の着方や演技の所作、材料の調達、舞台の準備は地域で毎年経験を積み上げるものであり、一度途切れると復活には大きな労力がかかってしまいます。安定した継承基盤が欠かせませんが、現状は困難に直面しています。 -
- 例えば、京都市北区一帯でユネスコ無形文化遺産に登録されている「やすらい花」(上の写真)という風流踊が春に行われます。そのうち「今宮やすらい」を保存継承する「今宮やすらい会」ではわらじ、特に子供用のわらじの入手に困っておられます。
やすらいのわらじは伝統的に足の大きさの半分ほどの「足半(あしなか)」(下の写真)と呼ばれるもので、大人でも履きなれないのですが、子供たちにとってはより履きづらくつぶしてしまうのだそうです。 -
- かつては京都府北中部の京丹波町など豊かな耕作地域で作られたわらじを使っていました。しかし稲刈りの機械化が進んだことや地域の高齢化で、材料となる稲わらの入手が困難となりましたわらじの入手ができずに困っていたところ、石川県能登半島でわらじを作っている方を知り、能登半島地震の被災地の復興支援になることもあり製作を依頼するようになりました。ただ、京都から遠いため費用も高止まりしているとのことです。
伝統行事・芸能の保存と継承は、普段は仕事や家庭を持つ保存会の皆さんの無償の活動に支えられています。ひとつひとつの保存会は規模も小さく、資金集めもままなりません。後継者育成がうまくいっている保存会もありますが、そのノウハウが共有できていないことが現状です。
このままでは、長らく守られてきた地域の「宝」が少しずつではありますが途絶えてしまいかねません。 -
-
- このクラウドファンディングをきっかけに、多くの人に伝統行事・芸能が悩んでいる後継者不足のさまざまな課題を知ってもらい、解決策をともに考えていきたいと願っています。
後継者育成は、地味で時間のかかる事業です。このクラウドファンディングを通じて、伝統行事や芸能を見てみたい、体験したいというファン層を増やしていきたいと願っています。 -
-
-
保存会の声は
- 各保存会に実施したアンケートの結果の一部です。
・履物である「海老わらじ」の材料となる稲わらの入手が困難になっている。
<久多の山の神・お弓保存会>
・舞台に用いる衣装・用具類に特殊なものが多いことから、新調するには特注で高価になってしまう。 <嵯峨大念佛狂言保存会>
・子どもたちの入会が以前より少なくなった。
・後継者が増えることを願っているが、そうなると新しい道具や衣装が必要になるので経費の増加が懸念される。 <上鳥羽橋上鉦講中>
・物価高騰による運営費の圧迫 <藤森神社駈馬保存会>
・地域住民の参加者が少なくなった。学校の先生の引率がなくなり運営が難しい。
・子ども用の鉾の傷みが激しい。20数年前に新調したままで経年劣化がおきている。
<吉田剣鉾保存会>
・笛などの道具類や子供用衣装が不足しているがコスト高で揃えることが難しい。
・近年の気候変動の影響で巡行が中止になったり、参加者が熱中症にならないよう対策しなければならない。(交代人員の準備とそれに伴う衣装の補充) <今宮やすらい会>
・仏教行事のためなじみにくい。 <真如堂十夜鉦講>
・指導者の確保が大きな課題。現役実演者の多くが社会人のため無償での継続的な指導が難しく、育成の機会が限定されている。
・演目の中の獅子舞は高度な身体技術を要するため、安全に配慮した指導体制が必要。そのための人的体制の確保が課題。 <千本六斎会>
・地域住民の減少 <多数の保存会> -
-
集まった資金の使い道
- クラウドファンディングでご支援いただいた資金は、伝統行事・芸能の後継者育成事業を具体的に計画している保存会などに対し、助成金として提供します。具体的な事業としては、技術を伝承するための映像作成・テキスト作成、講習会開催、衣装・道具類の修理や調達の補助、伝統行事・芸能を知っていただくため、保存会メンバーを募るためのチラシ・ポスター製作などが考えられます。
-
返礼品について
-
- ご支援に対する返礼品は、各保存会の皆さんの協力のもとゆかりの品や特別な体験をご用意しました。
今年は午年ですので、上賀茂神社で行われる競馬(くらべうま)神事の組み合わせを決め、騎手の馬上姿勢等を確認するための「足汰式(あしぞろえしき)」の観覧、下鴨神社の「糺の森流鏑馬神事」、藤森神社で様々な技を疾走する馬上でおこなう「藤森神社駈馬神事観覧券」といった馬に関連する行事をご用意しました。
そして祇園祭には欠かせない山鉾の「ちまき」や京都五山の送り火の「消し炭」、八瀬赦免地踊りの灯篭の切り絵の技術を応用した特製の「ミニチュア切り絵」など、いずれも昨年好評だった品々を本年も用意しています。
「鞍馬火祭特別観覧」は通常の観光ルートではなく、地元の方と同じように通りを歩いていただけます。
そして今回、このクラウドファンディングの理念に賛同された清水寺の森清範貫主がこのクラウドファンディングのために特別に揮毫いただくことになりました。 -
リスクとチャレンジ
- 今回、目標額に達しなかった場合でも、集まった金額を分配し保存会に助成します。助成金の金額は少なくても、さまざまな側面から、京都の伝統行事・芸能を支える保存会の皆さんへの支援は続けます。
-
寄付控除について
- 本プロジェクトは寄付型(寄附控除対象)となります。今回、5000円以上ご支援いただいた皆さまに、寄付金控除証明書を送付いたします。(5000円未満のご寄付は寄附控除対象になりませんので、ご了承ください。)
5000円以上の財団へのご寄付は、特定公益増進法人への寄附として、確定申告の提出により税制上(所得税等)の優遇措置が受けられます。手続き方法など詳細は、お住まいの地域の税務署にお尋ねください。 -
会員制度
- 5000円以上のご支援をいただいた方は、ご希望に応じて、財団の会員として1年間登録させていただきます。会員の皆さまへは、京都の文化財についての情報が満載の「会報」を年3回お届けするとともに、会員の方々だけの特典事業にもご応募いただけます(詳細は財団ホームページ「会員制度」をご覧ください)。
-
保存会からのメッセージ
-
藤森神社駈馬保存会 会長 早川宏一
-
- 『駈馬神事(カケウマシンジ)』の始まりは千二百年前に遡ると言われている歴史ある伝統行事であります。近年は藤森神社が馬の神社、勝負事の神社等で知名度が上がり、昨今のインターネットやSNS等で日本中もしくは世界中の方々が検索して動画閲覧してもらっています。動画を観ると、どんな行事かは判りますが実際に携わるにはどうするのか判りません。
ほとんどの方が動画を観ると『すごいなぁ〜』『ようやるなぁ〜』『危ないなぁ〜』と感想だけ言って終わります。そこでこの行事に携わってみたいなぁ?馬に乗ってみたいなぁ?と思っていただけるようにするにはどうするか?
今回、慣れない筆を取ることになりましたが、何がきっかけで物事にのめり込むか判りませんので、その一端になればと思っております。
当会の『後継者育成』は『乗り子』と『世話方』の双方ありまして、馬に乗りたいという乗り子を育てるにはどうするのか?その準備や段取りをする世話方を育てるにはどうするのか?長年の課題なので一気に解決しようとは思いませんが、来るものは拒まずの姿勢で受け入れ態勢を整えておりますので一度経験してもらうことが後継者探しの第一歩です。
氏子や親子代々という世襲で行事を継承してきましたが時代が移り行く中で難しくなっております。令和の時代はある意味、『改革』の時代でもあるので、100年先、200年先まで行事が継承されるために年に一度の『駈馬神事』を遂行しております。 -
-
千本ゑんま堂大念佛狂言保存会 迫間悟空
-
- ゑんま堂狂言は、1017年に定覚上人が引接寺を開山し、狂言を始められたと伝えられています。途中衰退や、狂言堂焼失という危機に直面するも、熱意を持った先輩方が保存会を立ち上げ、今日まで絶やすことなく続けられて来ました。私も次世代の担い手として日々研鑽しています。
京都の大念仏狂言の中で、ゑんま堂狂言はほとんどの演目に台詞のあることが特徴で、演じて楽しい、観て楽しい、独特の空気感を作り出しています。
近年、演目の復活にも力を入れ、今年は私自身も関わり『蟹殿蟹殿(かにどんかにどん)』を復活いたしました。劇中で使用する小道具等は、皆様からのご寄付で制作することができました。今後も演目の復活に取り組みたいと思います。
また、活動拠点の千本ゑんま堂(引接寺)境内にある肝心の舞台においては、特設して使用しており、部材の老朽化も進んでいる現状です。毎年行う本公演が中止になる可能性も十分にある状況です。
より多く、より長く継承していくために、皆様のご理解とご協力を是非とも頂きたく存じます。何卒よろしくお願いいたします。 -
-
最後に
-
- 「京都」には数えきれないほどの魅力がありますが、そのひとつに、誇りをもって伝統行事・伝統芸能を支えている地域の人びとの活動があることに間違いはありません。
京都の伝統行事・伝統芸能の後継者を育成するということは、京都の魅力を醸成している文化そのものを支援し、未来につなぐことであり、大きな意義があることだと思っています。
皆さまのご支援を心よりお願い申し上げます。 -
賛同者メッセージ
-
京都市長 松井孝治
-
-
平安神宮宮司 鷲尾隆久
-
-
清水寺 執事教学部長 森清顕
-
-
華道家元池坊 次期家元 池坊専好
-
-
落語家 桂南光
-
-
国立京都国際会館事務局長・元京都市副市長 村上圭子
-
-
司会者・中堂寺六斎会 金ヶ江七海
-
-
佛教大学名誉教授・京都民俗学会会長・京都市文化財保護審議委員 八木透
-


























