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100%達成の御礼と、引き続きのご支援のお願い
- 多数のご支援、誠にありがとうございます。当初目標としておりました100万円の目標額に到達することができました。皆さまのご協力、篤志に心より感謝いたします。
おかげをもちまして目標額には到達しましたが、伝統行事・芸能を担っておられる団体は多数あり、その後継者育成事業に充てるには、まだまだ多くの資金が必要です。
そのような実情を鑑み、クラウドファンディング終了日の11月8日まで、引き続きご支援、ご協力のほどよろしくお願いいたします。 -
厳しい後継者育成
- 京都の伝統行事が新型コロナウイルス感染症の影響を脱しつつあった昨年、活動を再開された現地に財団職員が赴き保存会の方々とお話しする中で、担い手の高齢化や後継者の育成が一番の課題だと改めて強く認識しました。
伝統行事・芸能の技術の習得には時間と手間がかかります。例えば衣装の着方や演技の所作、そして舞台や行事の準備に至るまで、地域に根付いて毎年積み上げるものであり、一度途切れるとその復活には大きな労力がかかってしまいます。
例えば、京都市内15か所で伝承されている六斎念仏という伝統芸能があります。現在、京都の六斎念仏は、お盆の地区の家々をまわる棚経や寺社境内での公演を行うほか、祇園祭の囃子方としても活躍されていますが、高齢化により十分な活動が行えないところや、近年ではコロナ禍で、小学校で行っていたクラブ活動が中断したり、公演の機会がなくなる期間が続きました。 -
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- 市や国の指定文化財であっても、その保存と継承は、日頃仕事や家庭を持つ保存会の皆さんの無償の活動に支えられています。ひとつひとつの保存会は規模も小さく、資金集めもままなりません。後継者育成がうまくいっている保存会もありますが、そのノウハウが共有できていないことが現状です。
このままでは、長らく守られてきた伝統行事・芸能が途絶えてしまいます。
このクラウドファンディングをきっかけに、多くの人に後継者不足の課題を知ってもらい、解決策をともに考えていきたいと願っています。
後継者育成は、地味で時間のかかる事業です。まずは、伝統行事や芸能を見てみたい、体験したいというファン層を増やしたいと思います。 -
受け継がれてきた京都の伝統行事・芸能
- 長い歴史を持つ京都では、庶民や公家、武士、僧侶や神職など、さまざまな人たちが交わり、独特の伝統行事が育まれてきました。古いものでは葵祭や祇園祭、京都五山送り火などがあり、明治以降では時代祭などが全国的にも知られています。加えて、より地域に密着した伝統行事には各地で行われる火祭行事や神輿行事、各種馬行事などがあり、これらは毎年の恒例行事として行われることが多く、年中行事ともよばれています。
また、これらの伝統行事のなかで、さまざまな芸術や技能が伝統として伝承されてきました。全国的には能楽や文楽、歌舞伎などがよく知られていますが、京都市内には、念仏狂言や、六斎念仏、やすらい花など多くの伝統芸能が伝承されています。 -
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保存会の声は…
- 実際に現地に足を運ぶ中で、各保存会が後継者育成の課題を抱えていることを再認識し、昨年から保存会の方々に改めてアンケートやヒアリングを行い、保存会の現状、今一番困っていること、これからの展望などを調査しました。
・藤蔓など材料調達が大変になってきている。最近は亀岡あたりまで手弁当で探しに行ってもらっている(鞍馬火祭保存会)
・世話方の高齢化と減少。乗子の世代交代。乗子は技習得に時間がかかります(藤森神社駈馬保存会)
・保存会に新規加入する人が少なく、子どもはせっかく入っても進学などで数年で辞めてしまう(西院六斎保存会)
・「こども六斎」を組織しているが、子供たちの安定した加入に苦慮している(桂六斎保存会)
・会員の高齢化、地域からの離散などで伝統行事を続けていける担い手が減っている(松ヶ崎立正会=五山送り火・妙法)
・若年層の会員が減り、現会員の高齢化が問題で、将来的に実施が困難になる(広河原松上げ保存会)
・以前は準備が1日でできていたが、地域の人口減少、高齢化で2日かかるようになった。若者が減り、松明を上げる者が少なくなった(小塩上げ松保存会)
・少年たちが狂言クラブに入って活動してくれているが、せっかく演じられるようになっても大人になると続けられないことが多い(嵯峨大念仏狂言保存会)
保存会の中には次世代へ継承するための活動(各行事の技術習得のための研修会・練習会、こども対象教室)を精力的におこなわれている地域もありますが、一方で次世代に安定して継承できる状況ではなく、将来的に実施が難しいのではと危惧されている保存会もあります。 -
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集まった資金の使い道
- 今回のクラウドファンディングでご支援いただいた資金は、伝統行事・芸能の担い手である後継者を育成するための事業を具体的に計画されている保存会等の団体に対し、その費用を支援します。技術伝承のための映像作成・テキスト作成、講習会開催や、衣装・道具類の補助、伝統行事・芸能を知っていただくため、保存会メンバーを募るためのチラシ・ポスター製作などが考えられます。
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返礼品について
- ご支援いただいた金額に応じて返礼品をお送りいたします。
京都五山送り火扇子や松上げのミニ松、六斎念仏の手ぬぐいや絵はがきなど京都市内各地の伝統行事・伝統芸能ゆかりの品をご用意させて頂いています。
「鞍馬火祭特別観覧」は通常のルートではなく、ゆっくりと見ていただける特別観覧席で勇壮な祭をご覧いただける機会となっています。また、「嵯峨大念仏狂言バックヤードツアー」は、普段客席からしか見られない狂言の裏側を見学、保存会の方のお話とともに道具や衣装を間近に見ることができる体験型の返礼品です。 -
リスクとチャレンジ
- 今回、目標額に達しなかった場合でも、集まった金額を分配し保存会に助成します。助成金の金額は少なくとも、さまざまな側面から、京都の伝統行事・芸能を支える保存会の皆さんへの支援は続けます。
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寄付控除について
- 本プロジェクトは寄付型(寄付控除対象)となります。今回、5000円以上ご支援いただいた皆さまに、寄付金受領証明書を送付いたします。(5000円未満のご寄付は寄附控除対象になりませんので、ご了承ください。)
5000円以上の財団へのご寄付は、特定公益増進法人への寄附として、確定申告の提出により税制上(所得税等)の優遇措置が受けられます。手続き方法など詳細は、お住いの地域の税務署にお尋ねください。 -
会員制度
- 5000円以上のご支援をいただいた方は、ご希望に応じて、財団の会員として登録させていただきます。会員の皆さまへは、京都の文化財についての情報が満載の「会報」を年3回お届けするとともに、会員特典事業にもご応募いただけます(詳細は財団ホームページ「会員制度」をご覧ください)。
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保存会の方からのメッセージ
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広河原松上げ保存会会長 葛西清司
- 広河原の松上げは、江戸時代から続く無病息災、五穀豊穣を祈念し、愛宕神社に献灯する神事です。
この神事に使われる灯籠木(とろぎ/ヒノキ丸太高さ約20メートル)は、定期的に交換する必要があり、数年内にその時期がきます。これには山からの伐り出し、松場までの運搬等高額の費用を要します。可能な範囲で積み立てをしていますが、必要金額には程遠く、皆さまからの善意あるご寄付をお願いする次第です。何卒ご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。 -
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桂六斎念仏保存会 志川真子
- 桂六斎念仏保存会は2005年からしばらくの間休会していましたが、2019年に14年ぶりに活動を再開しました。
現在は、毎年8月に行っている棚経と地蔵寺での奉納に向け、週1回の稽古に励んでいます。特に今年は、8月22日の奉納で休会前に行われていた全演目を復曲すべく、さらに稽古に熱が入っています。現在、活動再開から5年が経ちましたが、保存会ではいまだに楽器や衣装などの道具類の修理・購入が必要です。桂六斎念仏を末永く伝承していくため、皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。 -
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さいごに…
- 「京都」の魅力の要素は数多くありますが、そのひとつに、誇りをもって伝統行事・伝統芸能を支えている地域の人びとの活動があります。
京都の伝統行事・伝統芸能の後継者育成は、京都の魅力を醸成している文化そのものを支援し、未来につなぐことであり、大きな意義があることだと思っています。
皆さまのご支援を心よりお願い申し上げます。 -
賛同者メッセージ
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華道家元池坊 次期家元 池坊 専好
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落語家 桂 南光
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前京都市長 門川 大作
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能楽師 観世流 シテ方・同志社大学 客員教授 河村 晴久
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葵祭第六十六代斎王代 松浦 璋子
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写真家 三宅 徹
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北法相宗宗務長 清水寺執事 森 清顕
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佛教大学教授・京都民俗学会会長・京都市文化財保護審議会委員 八木 透
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ヘッダー画像(左から藤森神社駈馬、千本ゑんま堂大念仏狂言、六斎念仏〈京都中堂寺六斎会〉、広河原松上げ) 写真提供:三宅徹