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大礼服とは
- 大礼服とは明治時代、宮中において着用された最も格式の高い西洋式の礼服で、3つのパーツからなるドレスです。襟ぐりが広く袖が短いボディス、長いスカート、そして豪華な長い引き裾のトレインでできています。
大聖寺に御下賜されたのは、ボディスとトレイン。スカートはこのたびのプロジェクトで復元いたしました。 -
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大聖寺について
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- この大礼服を所蔵している大聖寺門跡は「御寺御所」と呼ばれ、京都御所のほど近く、足利義満の「花の御所」跡に建つ臨済宗単立寺院です。1382年の開山以降、第24代光格天皇皇女・普明浄院宮さまに至るまで代々内親王さまがご入室になり、明治に、宮さまのご入室が廃止となって以降は、華族の姫宮さまに引き継がれ、筆頭尼門跡寺院として法灯を守ってまいりました。現在の本堂は昭和18(1943)年に東京の青山御所から一部移築されたもので、お庭には光格天皇より拝領の杜若「雲井の鶴」や「玉兎」と御銘々された白椿などが今もその時々に咲き続け、見るものを癒してくれます。
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このプロジェクトについて
- この大礼服は明治42(1909)年7月、大聖寺第26代門跡慈栄尼に御下賜されたもので、現存する皇后の大礼服の中で一番古いものです。
初めて目にした時、長いトレインは2枚に裁断され、再び繋ぎ合わされていて、トレイン上部にプリーツを入れ、紐をつけて腰に結ぶような形になっていました。
尼門跡寺院では、御下賜されたお召し物を「打敷」という祭壇を荘厳する四角い布に作り替えることが常より行われております。この大礼服のトレインもそのようにして打敷として保管され、近年になり展示のための工夫がなされていたのです。 -
- しかし、幾度かの展示を経て、経年劣化による危険な傷みがあちこちに見られるようになりました。歴史的な大礼服の激しい傷みに御心を寄せられた上皇后さまのお力添えを賜り、平成30(2018)年に中世日本研究所(京都、モニカ・ベーテ所長)と明治神宮国際神道文化研究所(東京)が中心となり、修復復元プロジェクトが動き出しました。
- 大聖寺には、この大礼服が昭憲皇太后さまより御下賜されたもので、「フランスで作られたものらしい」と伝えられてまいりました。修復に着手し調査が進む中で、例えば、金属刺繡の裏には遺払帳に使われた和紙が用いられていたこと▽絹糸のもろさは当時、機械化によって大量生産に向かう時期であったこと▽フランス風の織紋様はフランス・リヨン製とは限らず、日本でも制作が可能であったこと▽そのデザインから明治20(1887)~22(1889)年頃の制作ではないかーなど、多くのことが判明しました。
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- 修復にあたっては、国宝の修復も手掛ける京都の染技連が引き受けてくださいました。明治の頃の劣化した糸を丁寧に駒縫いで留め、金属刺繡やスパンコールを用いた装飾など、一針一針が緻密で繊細かつ根気の必要な気の遠くなるような作業が行われました。
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- 日本の将来を見据え、洋装化を進めるという時代の大きな転換点を経てきた歴史的意義のある大礼服。修復過程を記録するのみならず、皇后の大礼服そのものが語る歴史を広く世界に伝えることが非常に重要な責務であると考えております。
書籍は、日本語版・英語版ともに120ページ、A5版全カラーで、令和7(2025)年7月頃の出版を目指し、準備を進めております。 -
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集まった資金の使い道
- 調査報告書籍を出版するには、500万円が必要となります。2018年プロジェクトがスタートした時点では、その目途が立っておりませんでした。以来、その費用を集めるべく、特別公開や追加支援のお願いなど、さまざまに取り組みました。残り約200万円を、このクラウドファンディングで寄せられるご支援で充当したいと考えています。
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リターンについて
- 皇室ゆかりのお寺としての風格と尼寺ならではの雅な雰囲気を感じていただけるものをご支援いただいた金額に応じてお送りいたします。
一例として、お寺の絵はがきセット、光格天皇によりご銘々され大聖寺に下賜された杜若「雲井の鶴」をデザインしたレターセット、先代門跡花山院慈薫尼揮毫の扇子(限定品)のほか、非公開寺院である大聖寺の特別拝観などを今回のクラウドファンディングのために厳選いたしました。 -
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リスクとチャレンジ
- 「目標額」に達しなかった場合でも出版はいたしますが、ページ数の削減やカラーページの限定など検討せざるを得ないと考えております。このたびの調査・修復研究で得た知見を後世につないでいくためにも、当初の企画通りの書籍を出版したく、最後まであきらめずにまいりたいと存じます。
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さいごにメッセージ
- このクラウドファンディングによって、広く皆さまのお力をお借りし、洋装の先駆者であられた昭憲皇太后さまと、その大礼服に込められた物語が次代につながりますよう念願しております。どうか皆さまのご理解とご支援ご協力をお願い申し上げます。
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賛同者メッセージ(五十音順)
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明治神宮国際神道文化研究所主任研究員 今泉宜子さん
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フルート奏者 園城三花さん
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京ごふく ゑり善 代表取締役会長 亀井邦彦さん
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日本画家 定家亜由子さん
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宝鏡寺門跡 田中恵厚さん
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学芸プロデューサー 橋本麻里さん
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大聖寺文化護友会会長/香老舗 松栄堂 代表取締役社長 畑正高さん
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中世日本研究所所長 モニカ・ベーテさん
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