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何故、今、kumagusukuは新しいスペースをつくるのか?
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自己紹介
- はじめまして。クマグスクの代表で美術作家の矢津吉隆です。私は大阪で生まれ、大学入学を機に京都に住み始めました。芸大で彫刻を学び、大学卒業後も美術作家として活動を続けています。同じ大学出身の妻と2歳の息子と猫1匹と一緒に一軒家に暮らしています。現在は、美術作家としての活動だけでなく、自分で会社を起業したり、大学で講師をしたり、友人のいくつかの事業をお手伝いしたりとアートから派生して色々な仕事をしています。
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- ↑京都での個展の様子
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宿泊型のアートスペース「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」(アートホステル)
- 今から5年ほど前、京都の四条大宮というところで『KYOTO ART HOSTEL kumagusuku』という「展覧会に泊まる」をコンセプトにした宿泊型のアートスペースを立ち上げ、様々なアーティストやキュレーターなどと“泊まりながら鑑賞する”展覧会やイベントを企画したり、宿泊空間をつかった演劇の公演など、人とアートの関わる新しい場のあり方を模索してきました。日本だけでなく海外からも多くの人が訪れ、アーティスト達との様々な交流が生まれています。また最近では、アート思考を学ぶための社会人向けの私塾の開校や、アーティストのアトリエから出る廃材を利活用する資材循環のプロジェクトなど、宿泊以外のアート事業にも積極的に挑戦しているところです。
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コロナウイルスによる休業…そしてアートホステル「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」の閉店
- しかし、2020年、新型コロナウイルスの影響によって状況は急変しました。宿泊客は途絶え、クマグスクは4月から休業となり、感染拡大予防のため予定していた展覧会やイベントもすべてを中止にせざるを得ませんでした。今、京都の観光業全体が先行きの見えない暗く苦しいトンネルのなかにいます。しかし、起こったことは事実として受け止めて未来を見つめなければいけません。そんな状況のなか、先日、私は大きな決断を下しました。
クマグスクの宿泊施設としての営業に終止符をうち、新たな道を模索することにしたのです。
私は、アーティストとしての今このタイミングで「ものをつくる」こと「ものを売る」ことについて真剣に向き合おうと思いました。原点に立ち返るという意味もありますが、クマグスクを通して出会いクマグスクのことが好きで応援してくれる多くの人々と新しい関係を持ちたいと思ったことが一番です。5年経ったいまだからこそ進める次の道があるように思います。そこで、私は自宅待機をしながら、使っていなかった自宅の1階ガレージを改修し、新たなアートスペースにすることを思い立ったのです。すぐに改修をはじめました。 -
- *KYOTO ART HOSTEL kumagusukuは2020年5月末をもって宿泊施設の営業を終え、コロナ終息後に「まちを面白くする小商いの集合体」として小規模アート複合施設としてリニューアルする予定です。
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自宅のガレージにショップとスタジオ機能を持った新しいkumagusukuをつくる
- その新しいスペースは25㎡ほどの路地に面した小さなスペースですが、ショップとスタジオ(工房)の機能を持った2つの空間になる予定です。ショップは、物販や作品の販売、イベント、展覧会など多目的な用途に使用でき、スタジオはひと通りの素材加工ができるよう最低限の設備を整え、ものをつくる現場として開かれたスペースとなります。壁を立て、ペンキを塗り、棚をつくって、この場所に新しい息吹を吹き込んでいきます。コロナ禍での鬱屈した気分も体を無心に動かすことで晴れていきました。
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新しいスペースの名前は、kumagusuku SAS(サス)
- アートと人の新しい関係をつくりたいと思い始めた場であるクマグスク。今まで宿泊を通してアートを日常に近い体験として提供してきましたが、新しいスペースではアートがつくられる現場の裏側やその制作の過程を知ってもらうことでアートとの新たな関係をつくっていきたいと考えました。今までのアートに対する近寄りがたいイメージを払拭し、もっと積極的な関わりを持ってもらうために、「ものをつくる」「ものを買う」ということをテーマに新しい事業を展開していきます。
ということで新しいスペースの名前は、ものづくりの現場である工房(スタジオ)とそれを買うための店(ショップ)のスペースということで『kumagusuku SAS(Studio And Shop)』と名付けました。
ここでは、『副産物産店(ふくさんぶっさんてん)』というプロジェクトを主軸にしながら展覧会やイベント、ワークショプなど様々な企画をしてく予定です。 -
- ↑ショップスペース、展覧会やイベントでも使えます。
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- ↑工房(スタジオ)スペース。
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アートの廃材を利活用する『副産物産店』とはどんな事業なのか?
- 副産物産店(ふくさんぶっさんてん)とは、アーティストの作品制作の過程で出る魅力的な廃材を“副産物”と呼び、それをアーティストのアトリエから回収し、加工することで様々な商品にして、販売・流通させるプロジェクトです。私と山田毅さん(只本屋代表)という美術家の友人と一緒に行っています。2017年に結成、イベントや芸術祭などへの出店(出展)を中心に活動してきました。ものの価値や作品を生み出すアーティストという存在について独自の視点で捉え、その生態系から新しい仕組みを作り出すことで、人々にアートを身近なものとして触れてもらおうというコンセプトがあります。
今後、SASを拠点としてアーティストの副産物を使った商品の開発や展示販売など積極的に行っていきたいと考えています。 -
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- ↑アーティストの制作の過程から生まれる廃材たち(副産物)
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- ↑イベント出店の様子
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新しいスペースkumagusuku SASはこんな場所にあります
- 新しいスペースは、今のクマグスクから自転車で8分、徒歩15分ほどのところにあります。世界遺産の二条城の北側の京都らしい町並みの残る通りのトンネル路地を入ったところにあります。
京都市営地下鉄東西線二条城前駅徒歩10分
市バス丸太町智恵光院停留所より徒歩5分 -
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リターンについて
- 今回、ご支援へのリターンとして、京都で制作活動をするアーティストの副産物の詰め合わせや、副産物を加工してつくった雑貨や家具をご用意しました。
どれもアーティストの思考の片鱗がうかがえる魅力的なものばかりです。普段はそのまま捨てられてしまう廃材だったアートの副産物、それらが人の手に渡ることで作品とはまた違った価値や関係性を生み出してくれるでしょう。
是非、アーティストの生の息吹を手にとって感じていただければと思います! -
- ↑京都のアーティストの副産物(廃材)を詰め合わせたパッケージ
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- ↑副産物を加工したプロダクトなど
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応援のコメント
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- アート、カルチャー、ビジネスの垣根を軽やかに飛び越えて素敵なプロダクト・サービスを生み出してきた矢津さんが新たな挑戦をされるとのこと、とても楽しみです!
龍崎 翔子 (りゅうざき しょうこ)
L&G GLOBAL BUSINESS, Inc.代表 ホテルプロデューサー。2015年にL&G社を設立。15年に「プチホテルメロン富良野」、16年に「HOTEL SHE, KYOTO」、17年に「HOTEL SHE, OSAKA」を開業。「THE RYOKAN TOKYO」「HOTEL KUMOI」のリブランディング・運営も手がける。
Twitter https://twitter.com/shokoryuzaki -
- 京都に矢津さんがいて本当に良かった。あの街を訪れるたび、古い場所だけではなく、あたらしい場所にも熱気があり、その珍味みたいなところではやっぱり矢津さんが奮闘されている。それも瞬間的に沸騰させるんじゃなくて、時間を掛けてじりじりと。表層的ではない文化の育て方を、ずっと続けておられる、なんて信頼されるべき人なんだ!矢津さんにお金を託すというのは、京都をより面白い街にすることに直結する! と言い切れます。
塩谷 舞 (しおたに まい)
オピニオンメディアmilieu編集長・文筆家。大阪とニューヨークの二拠点生活中。1988年大阪・千里生まれ。京都市立芸術大学卒業。大学時代にアートマガジンSHAKE ART!を創刊、展覧会のキュレーションやメディア運営を行う。会社員を経て、2015年より独立。
Twitter https://twitter.com/ciotan
Instagram https://www.instagram.com/ciotan/ -
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- 堀川団地活性化ミーティングで矢津さんと出会ってから、早いもので5年になります。あの時の衝撃的な出会いは今でも忘れられません。
様々な人と人との交流を通じて京都のアートシーンに新しい風を吹き込もうとする矢津さんのお姿を見て、いつも心強く思っています。
矢津さんのことですから、今回もKumagusukuSASで、また新しい何かを興していただくことと確信しています。
がんばってください!私も地域のコミュニティがもっともっと元気になるよう、引き続き矢津さん達とコラボして行きたいと思います。
榊󠄀田 隆之(さかきだ たかゆき)
京都信用金庫 理事長
1971年に「コミュニティ・バンク」を世に提唱した金融機関として、地域の経済や文化形成への想いを込め、心豊かな地域社会、コミュニティを創ることをライフワークとする。 -
集まった資金の使い道
- 今回の目標金額は200万円です。
以下はこのプロジェクトの全体予算になります。
1.内装工事…150万円
2.店舗入口部分工事…50万円
3.看板制作…40万円
4.工房設備購入…30万円
5.副産物産店ウェブサイト作成…30万円
6.副産物の商品化…100万円
合計400万円
集まった資金は主に3~6の用途に使用したいと思っております。 -
リスクとチャレンジ
- このプロジェクトは店舗を休業せざるを得ない状況のなかで生まれたものです。ある意味で背水の陣であるとも言えます。まだ新型コロナウイルスの感染が終息したわけではありません。以前のように多くの人が集うことはしばらくは無理でしょう。店舗もこれまでのようには開店できない可能性もあります。しかし、今、この状況に対してどのように振る舞うかが今後の事業の明暗を分けると私は思っています。アーティストとしてリスクがあっても自分の感覚を信じて進んでいきたい。しばらくは店舗として開店できないかもしれません。その場合は、工房(スタジオ)としてまずは稼働し、なるべく多く商品のストックをつくってオンラインで販売していこうと考えています。できることから少しずつ積み上げていきたいと思っています。
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さいごにメッセージ
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- ここまで長文を読んでくださりありがとうございます。 私はアーティストでありながらひょんなことから起業し会社を経営するようになりました。今まで、人々にアートを「もっと知ってもらいたい」「もっと身近に感じてほしい」そんな思いで事業に取り組んできました。アートホステルという場を通じて、多くの人と出会いました。展覧会を観るために何度も繰り返し訪れてくれるお客様、共に展覧会をつくりあげてくれるアーティストやキュレーターやデザイナー、そして共に事業を支えてくれるスタッフや仲間たち、多くの人に支えられてここまでやってきました。私はその灯を絶やしたくありません。新しい挑戦によってもっと多くの人にアートの素晴らしさや面白さを伝えていきたい。そのための一歩がこのプロジェクトです。未知の領域に足を踏み込む不安ももちろんあります。しかし、それ以上にわくわくした気持ちが私を後押ししてくれています。このクラウドファンディングを通してまた多くの人たちと出会うことができる。それが楽しみで仕方ありません。是非、新しいkumagusukuを皆で一緒につくっていきましょう!
kumagusuku代表 矢津吉隆
『kumagusuku SASプロジェクト』
事業主体:株式会社kumagusuku
プロジェクト主体:副産物産店(矢津吉隆+山田毅)
事業パートナー:岩崎達也(株式会社マガザン)
運営スタッフ:足立夏子(kumagusuku)
サポートスタッフ:京都芸術大学ウルトラファクトリープロジェクトメンバー
副産物提供アーティスト:京都のアーティストの皆さん
副産物提供施設:京都市立芸術大学、京都芸術大学、京都精華大学、沖縄県立芸術大学、punto、vostok、GURA -
プロジェクトメンバーの紹介
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- <代表>
矢津 吉隆(やづ よしたか)
美術家、kumagusuku代表、株式会社kumagusuku代表取締役
1980年大阪生まれ。京都市立芸術大学美術科彫刻専攻卒業。京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)非常勤講師、ウルトラファクトリープロジェクトアーティスト。京都を拠点に美術家として活動。また、作家活動と並行して宿泊型アートスペースkumagusukuのプロジェクトを開始し、瀬戸内国際芸術祭2013醤の郷+坂手港プロジェクトに参加。主な展覧会に「青森EARTH 2016 根と路」青森県立美術館(2016)、個展「umbra」Takuro Someya Contemporary Art (2011)など。2013年、AIRプログラムでフランスのブザンソンに2ヶ月間滞在。アーティストのアトリエから出る廃材を流通させるプロジェクト「副産物産店」やアート思考を学ぶ私塾「アート×ワーク塾」、古民家をスタジオとして改修して貸し出す「BASEMENT KYOTO」など活動は多岐にわたる。 -
- <副産物産店 共同代表>
山田 毅(やまだ つよし)
美術家、只本屋 代表
1981年東京生まれ。2003年武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科卒業。現在、京都市立芸術大学大学院博士後期課程在籍。 映像表現から始まり、舞台やインスタレーションといった空間表現に移行し、ナラテイブ(物語)を空間言語化する方法を模索、脚本演出舞台制作などを通して研究・制作を行う。2015年より京都市東山区にて「只本屋」を立ち上げ、京都市の伏見エリアや愛知県名古屋市などで活動を広げる。2017 年に矢津吉隆とともに副産物産店のプロジェクトを開始。現在、作品制作の傍ら様々な場作りに関わる。
■ 只本屋 website : http://tadahon-ya.com/
<事業パートナー>
岩崎 達也(いわさき たつや)
株式会社マガザン代表取締役
1985年生、兵庫県三木市出身、山田錦農家の長男。京都市在住。京都大学サービスMBA講師。京都精華大学非常勤講師。上京しリクルートコミュニケーションズ、楽天を経て2014年京都へ移住し、ロフトワーク京都に勤務。いずれも新規事業開発ディレクターとして従事。2016年、泊まれる雑誌マガザンキョウトをクラウドファンディングを活用し起業、編集長と町内会長を務める。雑誌の特集のようにシーズン毎に空間で様々な企画を展開。京都起業家大賞優秀賞等を受賞。100を超える様々なプロジェクトの受け皿として、2017年株式会社マガザンを創業。
<副産物提供者>
現代美術という分野にカテゴライズされるアーティストの皆さん。主に20代〜30代の若手と言われる人が多く、京都市内で複数人で共同スタジオなどを運営するなど独自の生態系を構築しています。また、京都市立芸術大学、京都芸術大学(旧京都造形芸術大学)、京都精華大学などの芸術系大学の工房からも提供していただいています。その他に、芸術祭で関わった沖縄の工芸作家やデザイナーなど現代美術以外の分野からも副産物が集まっています。 -